こんにちは、萬育堂薬房の志倉です。
2017年も医療技術の進歩について、大変目覚ましかったことが私の記憶の中で強いです。
そんな先進的な医療について、個人的に興味をもった研究・手法をいくつかご紹介したいと思います。
◎高周波切除器を用いた子宮腺筋症核出術
子宮腺筋症とは、子宮内膜症と似た病気です。
子宮内膜症は子宮以外の卵巣や腹膜に子宮内膜が出来てしまうのに対して、子宮腺筋症は子宮筋層内で出来てしまう病気となります。
病気が進行すると子宮筋層内で出血を繰り返して、子宮を肥厚・拡大してしまい痛みや合併症を引き起こします。
子宮腺筋症は、これまで子宮全摘術によって治療されてきました。
腺筋症組織は子宮筋層内に複雑に入り込んでいることから、腺筋症組織のみを正常の子宮筋層と分離して切除することは困難でした。
しかし子宮腺筋症核出術は開腹後に開発されたリング型の高周波切除器を用いることにより腺筋症組織のみを切除(核出)します。
◎C型肝炎ウイルスに起因する肝硬変に対する自己骨髄細胞投与療法
全身麻酔下で患者の腸骨より骨髄液を約400ml採取して、骨髄採取キットにより骨片を除去し(血液疾患の骨髄移植に準じて)、無菌的に単核球分画の分離精製を行い、末梢静脈から約2~3時間かけて投与する。
◎がんゲノム医療
日本人の死因1位は悪性新生物(がん)です。年間新たに約100万人が診断されています。
国立がん研究センター中央病院は、患者の遺伝情報(ゲノム)を検査する「がんゲノム医療」を先進医療に申請する。
認められれば一部保険適応が可能になります。国は2019年度中の保険適用を目指している。
がん細胞の遺伝子を網羅して、どの遺伝子に異常が起きているかを確認して、がんの変異に応じて薬などを使い分ける方法。
個々の患者の特徴に合う抗がん剤を使うことで、より効果的な治療ができるようになると期待されます。
検査は約数十万円必要となり、一部の施設で臨床研究・自由診療で実施されてきました。
国立がん研究センター中央病院は、年明けにも厚生労働省に申請を行い、了承を得て2018年度の実施を目指しています。
厚生労働省が公表している2017年の先進医療に関する合計項目は101項目にもなります。
2018年はいったいどの様な技術革新が起こるのか非常に注目されます。