糖代謝向上?認知症予防?成長促進? (グレリン ホルモンについて)

こんにちは、萬育堂薬房の志倉です。

 

皆さん、本ブログでも多くのホルモンを取り上げてきましたが、本日は新たに最近業界内で話題のホルモンについてご紹介をしたいと思います。

 

そのホルモンの名前は『グレリン』です。

 

グレリンは身体の中で様々な働きをしていると考えられていますが、まだその全貌は分かっていません。

色んな場所で耳にする代表的な働きとしては、糖代謝の向上・認知症予防・成長の促進 などが挙げられます。

今回はそんなグレリンについて ご紹介をしていきたいと思います。

 

 

◎グレリンとは?

 

グレリンとは1999年に、なんと日本人の研究者(国立循環器病センターの児島将康・寒川賢治ら)が発見したホルモンです。

名前の由来は、成長を意味する「grow」と解放を意味する「release」が合わさって付きました。

 

その名の通り、ヒトの脳下垂体前葉にある成長ホルモンの分泌を促進させます。

主に胃で生産されていることが分かっています。(少量ではあるが 腸管、視床下部、下垂体、膵臓、腎臓、胎盤、精巣などでも確認されている。)

成長ホルモンの分泌促進以外にも胃においては、胃酸分泌や消化管運動の調節、食欲の増進、体重増加 などが挙げられます。

 

このことから一見、成長過程にあるお子様には非常に有益なホルモンではあるが、成人している私たちには関係がないのではないか? と思われがちですが、実はそうでもないのです。

 

 

◎糖代謝の向上について

 

糖代謝を調節する代表的なホルモンとしてインスリンがありますが、そのインスリンを生産する膵臓のランゲルハンス島において生産の調節に大きく関わっていることが分かりました。

 

グレリンは、高血糖状態ではインスリン分泌を促進しますが、低血糖状態ではインスリンを分泌しないように調節をします。

太っている人でもインスリンが正常に分泌している場合はグレリンの値が高く、何らかの原因でインスリンの分泌機能が低下していると考えられる2型糖尿病はグレリンの値が低いです。

 

このことからもグレリンは非常に糖代謝と関係性が高いことが分かります。

グレリンの働きついて、食欲の増進や体重増加と挙げましたが、この内容と矛盾するのではないかと思う人もいるかと思いますが、この内容については下記の成長促進についてをご覧ください。

 

 

◎認知症予防について

 

認知症予防についてのウワサが多いのはある研究が発表されたからと考えられます。

 

http://onlinelibrary.wiley.com/wol1/doi/10.1111/jdi.12580/abstract

(英文のページになります:Ghrelin is a possible new predictor associated with executive function in patients with type 2 diabetes mellitus)

 

2016年に Siting Chenら研究チームが発表した研究で、2型糖尿病患者におけるグレリンの血中濃度と認知機能の関係性について調べた内容です。

 

2015から2016年の間に、被験者370人(うち212人は2型糖尿病患者、158人は非罹患者の対照群)から血液検査を実施して、さらに認知機能テスト(Montreal Cognitive Assessment:MoCA)と実行機能テスト(Wisconsin Card Sorting Test:WCST)を行い、各群との差や関係性を調べました。

その結果、認知機能テストといくつかの項目年齢、学校教育を受けた年数、糖尿病罹患期間、空腹時血糖値、HbA1c値、高血圧、ウエストとヒップの比率)が有意に関係していることがわかりました。

逆に、2型糖尿病患者とグレリン濃度に関係性は確認できませんでした

しかしながら実行機能テストに関しては、2型糖尿病患者の実行機能障害の因子としてグレリン濃度が関係していることが分かりました。

 

以上のことから、糖代謝の失調は認知症と密接に関係していること と グレリンは糖代謝に影響しているのではないか、ということが分かりました。

 

結果をみてわかる通り、グレリンと糖代謝の関係性はまだ不明瞭な点が残ります。

これらが解明すれば、認知症予防や治療に大きく前進できるかもしれません。

 

 

◎成長の促進について

 

グレリンの説明で挙げた通り、直接的に成長ホルモンの分泌を促します。

作用に食欲の増進や体重増加とありますが、これはあくまでも補うためのものであって過度になるわけではありません。

糖代謝についてで述べた通り、グレリンは 高血糖状態ではインスリン分泌を促進しますが、低血糖状態ではインスリンを分泌しないように調節をします。

加齢とともにグレリンのサイクルは緩やかになっていきます。その反面、そのサイクルが必要以上に失調しているのが生活習慣の乱れや糖尿病のリスクを抱える大人となります。

 

また、グレリンの食欲の増進や体重増加は様々な病気の場面でも用いられます。

成長ホルモンの分泌障害による小人症神経性摂食障害などで活躍が期待されています。

東洋医学においては、胃の虚弱体質に対して 六君子湯(りっくんしとう)と呼ばれる「人参」、「半夏」、「茯苓(ぶくりょう)」、「朮(おけら)」、「陳皮」、「甘草」の生薬を配合した漢方薬がグレリンの働きを活性化させているのではないかという報告もあります。

このことから胃切除術後の患者に対して、食欲の増進や体重増加を目的に処方されることもあります。

 

 

皆さん、いかがでしたか?

 

このように ヒトの身体の中には 未知の力が沢山あり、これらは身体の恒常性を保つホメオスターシス(homeostasis)のもとに日々活動をしています。

 

東洋医学における、「未病(未だ病にならざる)」を自己機能でコントロールする素晴らしい力です。

 

今後もメカニズムが解明していくことで、我々の医療に大きく貢献をしてくれるかもしれません。

 

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萬育堂薬房
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